アリとの一戦に敗れたフォアマン。その後、王座復帰を狙って再起戦を戦います。
が、ジミー ヤングとの試合でダウンを奪われ判定負け。試合後のロッカールームで昏倒して意識を失います
が、そこで神の啓示を受けます。
そして、ボクシングを引退し、教会を開き、宣教師としての道を歩み始めます。
それまでは威圧的な態度が多かったフォアマンですが、これを境に周囲が気味悪がるくらい、とても
おおらかで優しい男に変わったそうです。
しかし、離婚による慰謝料や養育費の為に資金繰りに行き詰ってしまいます。
そして資金を調達する為にカンバックを決意します。
引退から10年が過ぎ、でっぷりと太った体は130Kg(だったかな?)。その姿を見て誰もがフォアマンを
笑ったそうです。
が、周囲の予想に反してフォアマンは勝ち続けます。アーチー ムーアに師事し、クロスアームブロックと
試合運びを授けられ、連戦連勝。実に24勝23KOの戦績で42歳で世界タイトルへの挑戦権を得ます。
今でこそスポーツ科学が発達した影響か、選手生命は昔と比べて長くなり、30半ばの世界チャンピオンも
ざらにいますが、当時は30歳と言えばもうキャリアの終わりが近付く年齢で、10年のブランクを挟んだ
フォアマンが42歳で世界タイトルに挑戦することになるなどとは誰も想像出来なかったことでした。
フォアマンは「中年の星」として注目を集めるようになりましたが、ある取材に際してフォアマンは
「自信が足りない」。と述べたそうです。
次々に対戦相手をキャンバスに沈めるフォアマンが「自信が足りない」とは如何に・・・。
迎えた世界挑戦。時の王者はイベンダー ホリフィールド。
若き王者と真っ向戦い、王者をピンチに追い込むシーンもありましたが判定負け。
王座返り咲きはなりませんでしたが、世界からは大いに称賛されました。
特集番組なども組まれたのですが、その中でキンシャサでのアリとの一戦に触れ、「あの試合でアリは
タイトルだけでなく、私から威厳というものを全て奪い取っていってしまった」と語りました。
「自信が足りない」とはこの事だったのでしょうか。ちなみに試合開始前のリング上にはアリが激励に
訪れて、「炎のように祈っているよ」と囁いたそうです。「言葉の真意は分からなかったけれど、とても不思議
な気分だった。自分の世代はもうみんな引退してしまっていたのだからね」とアリとの再会を邂逅しました。
その後も王座返り咲きを狙って試合を続け、WBOチャンピオンのトミー モリソンに挑みますが判定負け。
そして1994年、ホリフィールドからタイトルを奪ったマイケル モーラーに挑戦するチャンスに恵まれます。
三度訪れたチャンスにフォアマンは全身全霊のトレーニングで望みます。
そして、「この試合だけは自分の為だけに戦う」と言って、アリに敗れた時と同じトランクスを履いてリングに
上がりました。が、試合はやはり若さには勝てないのか、モーラー優勢で進みます。
しかし迎えた第10R、フォアマンのワンツーがモーラーを捉え、モーラーがダウン。
テンカウント。45歳9か月。カンバックした時は誰もが笑った中年のフォアマンが「奇跡」を起こしました。
「キンシャサの奇跡」から実に20年ぶりの王座復帰でした。
勝利の瞬間、フォアマンは一瞬天を仰ぎ、くるりと向きを変えコーナーに跪きます。神に感謝する姿でした。
試合後、フォアマンは「アリの亡霊が消えた」と語ったとか。
20年前、アリに敗れたその日からずっと悪夢と戦っていたんですね。
その後フォアマンは数試合した後リングを離れました。「足りない自信」を取り戻したのでしょうね。
何てドラマチックなボクサー人生なんでしょう。
そして時は流れ、フォアマンも今年で69歳。元気に宣教活動に励んでいるでしょう。
ちなみに余談ですが、フォアマンにはかなり若い息子がいて、息子もプロボクサーになったそうです。
が・・・
何と!息子は子供の頃は父親が元世界ヘビー級チャンピオンだった事を知らなかったそうです。
そのことに関してフォアマンは「別に語って聞かせることでもないので」と答えたそうです。
ビッグ ジョージの愛称は身体の大きさだけでなく、人間の器の大きさもさしているそうです。
フォアマンは息子に自分の武勇伝を語って聞かせるよりも、よく勉強するようにと言い聞かせていたそうです。
器の大きい男は違いますね。そんなフォアマンのびっくりエピソードでした。
P.S. 11月18日(日)は大会遠征の為、臨時休業とさせて頂きます。ご了承ください。
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